まちづくり?
 このページは、日常の都市計画業務の中で感じたことをつれづれなるままに書き記したものです。  個人的独断的な意見ですのでそのつもりでご覧下さい。
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協議会(3):会議における意見収集
 会議というものは大抵2時間程度で運営されます。
 協議会の人数程度なら全員発言することもできますが、数十人規模の会議になりますと、せいぜい10~20人ほどしか発言できません。しかも、会議を自分の思う方向に引っ張っていこうとする強引な人がいたり、ポイントをはずれた意見を長々と述べる人がいたりすると、人々の意見収集は容易ではありません。
 会議というのは、本当に意見交換の場なのでしょうか?意見をやりとりしながらその場で合意を形成していくべきものなのでしょうか?改めて考えてみる必要があると思われます。

 会議の初期の段階には、様々な意見の収集が重要になると思われますが、そうした場合には、ワークショップの方法がなかなか役に立つものです。協議会委員はそれなりに自負をお持ちだと思いますから、子どもにやらせるような方法には抵抗があるかもしれませんが、やり方を工夫すれば結構効果的に意見収集を図れるものです。

 先日の協議会では、「街のイメージ」づくりのために委員が持っているイメージを提供してもらうため、私は、各委員の手許にポストイットを用意してもらい、数分の間に各自のイメージを書き出してもらってから、議論に入るという方法を採用しました。
 こんな方法を採用したのは、通常の会議ですと、他の人が意見を言っている間は、なかなか自分の考えをまとめることができませんし、他の人の意見に引きずられてしまうこともあって、多様な意見を収集することが難しいからです。
 メモがあれば、自分の意見を整理して述べることもできますし、当初の自分の考えをそのまま述べることができます。しかもこのメモは、会議の記録にも、会議の結果をKJ法的にまとめていくことにも役に立つことになるわけです。

 もし、会議の人数が多数になってしまう場合は、1グループが10人程度になるようにグループ分けをし、同様の方法で、グループ毎の意見の一定のとりまとめを行い、それを発表するような方法をとれば良いわけです。

 こうした方法は、ワークショップと呼ばれる方法を一般の会議に応用しようとするものですが、このように、ワークショップは多数の意見を、対立関係や強引な囲い込みがなく収集するのに効果的だと思います。

 ところが、最近、ワークショップ方式を標榜して、住民の考えとしての結論まで導こうとする進め方が度々見られるようになりました。
 それに対しては、「ワークショップ方式をそこまで広げるのには、両手を挙げての賛同はしかねる。」というのが、私の意見です。
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協議会(2):住民意見の収集について
 協議会の委員の数をいくら増やしてもせいぜい20人弱です。この人たちの意見が住民を代表していると言い切れないことは明らかですし、委員としても住民の代表だという責任を感じて参加してくる人は限定されています。そのため「可能な限り多くの人々の意見を幅広く聴取する」ということが求められます。とりわけ重要なのが、こうした会議になかなか参加意欲を示してくれない若者達の意見をいかに収集するか、ということになってくるのでしょう。
 そして、住民会議や、地区住民や来街者への様々なアンケート調査の実施や、まちづくり点検マップづくりや、中学生などに町の将来像を描いてもらったりといった、様々な方法が開発されているのだと思われます。

 しかし、本来こうした試みは、戦略的・体系的に為されるべきだと思うのですが、そのように実施された例を私は知りません。思いつきでそれをしているようにしか見えない例すらありますし、見方に依れば、それが目的になっているのではないかと思わされるような例すらあるのです。
 また、そうして集められた様々な意見が(それはそれで重要であることを否定はしませんが)、町の将来を築くためのポイントを得ているかと言えば、必ずしもそうではないことを十分認識していないかのように思えることも気になります。

 住民の意見を様々な方法で聴取することは重要ですし、そのために様々な試みをすることを否定するつもりはありません。私が言いたいのは、住民の多様な参加の形態が、円滑な合意形成のためにいくら必要であったとしても、「議論に直接参加していない住民の意見はあくまでも、まちづくりの考え方を構築するための素材として考えるべきこと」、そして、「それだけで、住民の意向を把握できたと考えるべきではない」ということなのです。
 むしろもっと重要なのは、委員が住民を代表しているという自覚を持ち、沈黙している様々な住民を思い描きながら、想像力豊かにし、彼らの意見の集大成としての町の将来像を自ら描くことではないかと思うのです
 また、コンサルタントは、そうした将来像結実の助けとなるような協議会資料を提供すべき役割を持っているのだということを忘れてはならないのです。

協議会の進め方(1):そのスタート
 まちづくりにおいては、まちづくりの基本方向を定めていくために、地区の代表者などによる「まちづくり協議会」といった会議の場がよく設置されます。
 こうした会議を効果的に進めるために、どのような点に留意したら良いのでしょうか?都市計画コンサルタントして長年仕事をしてきた私にとって、当然だと思っていたことが、実は意外とそうではないということに最近気づかされることになってしまい、こんな記事を書き始めました。

 こうした会議を実質的に動かすために重要な事項として、私は次のようなことを考えます。

●どういう人々を集めるべきか?→実質的に議論できるメンバー
 テーマ議題を実質的に議論できる人がどれだけ集められるか、これによって、会議の活力、成果が全く異なるでしょう。

●何人くらいか?→できれば10人以内
 可能なら10人以内(8人程度)、多くても10数人とすべきです。自由闊達な議論を行うために人数は重要です。

●会議の環境は?→委員中心。活発な議論展開に配慮して
 あくまでも協議会委員が中心です。事務局や行政関係者・オブザーバーの方が数が多いようでは困ります。
 形式的な手続きは出来るだけ避ける(委員長の選定、協議会の議題として委員への委嘱状の受け渡し等)は可能な限り省略・時間短縮すべきです。
 これらは、あくまでも楽しくなごやかな雰囲気で、実質的な議論ができるよう配慮すべきことであり、あまりに形式的な議論では出席者はうんざりです。

●会議の進め方は?→「復習型でなく予習型」で
 「最初は顔合わせ」などというような無駄な会議は避けましょう。そのためは、全くの最初の会議であっても、少なくとも「今後の進め方(プログラム)を明確にする」、また「まちづくりの基本イメージを共有できるにするための基本的な議論をする」程度の成果は得たいものです。このことが、次回の資料作成に大いに役に立つのです。
 また、毎回の会議は、前回の議論の復習・確認をするより、むしろ、次回のテーマに関することを少しでも議論できるようにしておくべきです。つまり「復習型ではなく予習型」にすべきです。この先行的議論が、次回の資料をより最適なものにするのに役立つからです。

●会議録は?→簡潔な記録。むしろ住民への周知
 「全文記録」など必要ないでしょう。あくまでも簡潔にすべきです。協議会の実績づくりが大切ではなく、あくまでも実質的な議論の結果が重要であるなら、むしろその結果を住民に広く知らせる方策を検討すべきです。

●さらなる工夫は?→様々な意見の聴取、議論の全体像が委員にも理解できるよう
 協議会では発言者が限定されてしまうこともあります。発言しない人の意見も残せるよう、ポストイットのような紙に、意見を残していってもらうのも効果的ですし、議長役が、途中でそうした意見を整理しながら議事を進められればもっと効果的に進められるでしょう。
 議論の内容によっては、模造紙(最近ではパソコン・ディスプレイでも良いのですが)などに、発言を(グループ化しながら)要約していくことができればもっと効果的です。これができるためには、少人数の会議である必要がありますし、記録者にも相応の能力が求められることになりますが…。

 こんなことをわざわざ書いているのは、私には当然と思っていたことが、意外と世間では当然ではないのかもしれないと思ったからです。
#お節介ですね(^^ゞ。
NIKKEI NETに掲載
 耐震補強工事について、何日か前に記事掲載の取材を受けていたのですが、ようやく下記のような記事が掲載されました。
 「NIKKEI NET」の「住宅サーチ/リフォーム博特集/テーマ別コラム」覧です。



地震対策リフォーム、住みながら短期工事で家族を守る安心を

 耐震ポールを初めて目にすると、「何と大げさな…」と思うかもしれない。平均的な一戸建て住宅の場合、外まわりに5本、家の内部に2本と計7本の、美観を考えるとずいぶん無骨な柱が出現することになる。そして、その費用が415万円と聞くと、二の足を踏んでしまう人も多いだろう。

 しかし、つい先日のように、東京都心でもあわや震度5レベルの地震を一度経験すると、「あれくらいでないとダメかも…」という気持ちになってくるものだ。

 都市計画コンサルタントの平澤薫さんは、近いうちに間違いなく襲ってくる関東地域の大地震のことを考え、今春、自宅の地震対策リフォームを行った。平澤さんは仕事柄、建築については素人ではない。地震対策リフォームを行うにあたって、どういう工法を採用するか、プロならではの綿密なリサーチと考察を行った。

 まず、自宅について、築44年で、その後3回も増改築を重ねているため、構造の実態がはっきりせず、外からはうかがい知れない危険性が潜んでいることが確実、と冷静に分析。したがって、細部の改善の積み上げ方式のような工法は向かないこと、また、比較的大規模な住宅であることに対応した工夫が必要と判断した。

 耐震化にかかわる情報をさまざまなルートで収集した結果、平澤さん宅のような老朽化の進んだ建物の場合に有効な方法として、建物内部に耐震シェルター「不動震」を設置する方法と、建物の外部から支える「耐震ポール」を使う方法の2つが候補に挙がった。

 耐震シェルター「不動震」とは、木造住宅向け耐震補強工法の中でも最強といわれる工法で、部屋の内部に重量鉄骨製の箱型構造物を据える方法だ。このシェルターの内部にいれば、震度7の大地震があってもびくともしないという。

 一方、「耐震ポール」の方は、住宅の周囲に鉄製(またはアルミ製)のポールを設置し、ポールの上部で2階の床を支える梁に緊結することによって、阪神淡路大震災の際にも数多く見られた2階建て家屋の1階部分の「足払い倒壊」を防止するというもの。

 最終的に平澤さんが後者の「耐震ポール」を採用すると決めたポイントになったのは、次の3点だった。

 まず、費用面でのメリット。具体的に検討してもらった結果、耐震シェルターの工事費用が590万円かかるのに対して、「耐震ポール」の方は415万円と3割ほど安かった。

 2点目が、工事期間が短く、しかも、通常こうしたリフォーム工事の際に避けられない、工事中の一時転居が不要で、そのまま住みながら工事ができること。平澤さん宅には高齢の母親が同居しているので、できるだけ日常生活に支障をきたさないで、短期間で簡単に工事を済ませたいという事情があった。

 そして、3点目が、地盤は軟弱地盤でなく、耐震ポールの効果が十分期待できるとあらかじめ分かっていたこと。

 工事は、事前の詳細調査を1日かけて行い、工事着工はその1週間後。工期は12日間と他工法に比べてかなり短かった。そのうち、平澤さんがより安全性を考慮して行うことにした内部工事(室内に2本建柱)のため、多少日常生活に支障が出たのは10日間ほどだったという。ただし、本来この工法は、鉄骨を梁に緊結する工程で内部工事が発生するが、外部工事が主なので、日常生活への影響はほとんどないそうだ。

 工事を終えた平澤さんの感想は、「特に、今の住まいを建て直したいと考えていたわけではないので、耐震補強という形になりましたが、家族の安全を確保するために必要な費用としては決して高いと思いません。ポールが露骨に見えますが、自慢するほどの外観の建物ではありませんので全く気になりませんでした」。

 7月23日の千葉県北西部地震の際にも、地震で棚のものが落下するようなこともなく、何よりも家族が不安なく過ごせたという。

 耐震補強は、「大震災時に、建物の倒壊から家族の生命を守るとともに、震災後の復旧の拠点を確保する大切な事業」と平澤さんは言う。これまでも、阪神淡路大震災、新潟中越地震などが起こるたびに繰り返されてきたのは、「このような事態が起きるとは想定していなかった」という行政サイドや建築関係者の声。

 平澤さんが指摘するのは、「地震ではどのような被害を受けるか全く予測できません。建物の全壊は家族の生命に密接にかかわってくる問題ですが、仮に全壊を免れたとしても、『余震で破壊の可能性がある』と危険診断されれば、そこに住むこともできず避難生活を余儀なくされます。少なくとも家が安全な形で残れば、そこで家族の生活が維持でき、その後の復旧の拠点にもできるわけですから、家をどのような形で残せるかを考えておくことは大変重要だと思います」。

 地震対策リフォームは、「ああ、あの時やっておけば…」とならないよう、第一に考えたいリフォームの一つだ。

リフォーム概要
住居形態: 戸建て
築年数: 44年
構造: 木造
階数: 2階
施工者: シーク建築研究所
リフォーム費用: 415万円

(村瀬さおり)[ 2005年8月9日 ]

「都市美」西村幸夫
 今回は、「都市美」都市景観施策の源流とその展開(西村幸夫編/学芸出版社)のご紹介です。

 朝日新聞でしたか、松原隆一郎氏(東京大学社会経済学教授)が次のような書評を書いています。

「13人の専門研究者が、欧米8カ国と日本について都市の美観政策の系譜をたどった論文集である。こうした形の企画は学術関係では無数にあり、一般読者が通読して楽しめるものは少ない。ところが本書は厳密な論考の集積でありながら、出版自体に極めて戦略的な意図が籠められている。それに心惹かれる読者ならな、ページのあちこちで発見と驚きに出会うだろう。
(後略)」


 ついでに学芸出版社のHPには、次のように書かれています。

「景観基本法の制定、歴史的な町並みや建築物への関心の高まりを背景に、景観施策が大きく動こうとしている。我々は、都市美とは何か、美の施策はどうあるべきかを再度真摯に捉え直すべきではないか。欧米各国と日本の都市美理念の源流に遡り、美の公共性がいかに確立してきたかを振り返るとともに、これからのあり方を探る。 」



 景観問題は、私自身がその仕事の場を「建築設計」から「都市計画」に転じた直接的な契機ですから、無関心ではいられません。
#現在、風景画など描き始めているのは、こころのどこかに景観へのこだわりが残っているからでしょう。
 しかし、当時は、人々に景観意識は乏しく、また、都市計画業務に携わるようになっても、景観を直接デザインできる機会は殆ど無いまま過ぎていました。その間、諸外国の事例等を研究している景観研究者の論文を見ても、私はあくまでも実践の場でどう活かせるのかを考えていましたので、景観研究は研究者の自己満足程度の認識しか持っていませんでした。
 しかし、こうしてまとめられてみると、これまでの部分的な知識が総括されて頭がすっきりします。これは恐らくこうした書籍にすべく発想した出版社と編者である西村幸夫氏(東大都市工学科教授)に力が大きいのでしょう。特に西村氏の明快で論理的な文章にはいつも感心させられますが、本書も西村氏の面目躍如といった感じがします。
#景観研究はこうでなくちゃと思ってしまいます。

 しかしそれでも、景観問題は、いつも課題整理であったり今後の方策の試案や素描であったりして、いつまでたっても本題に踏み込めないままです。これまで、都市計画という場で、景観に係わってきた私としては、こうした「研究的な成果」と「現場」があまりにもかけ離れているのを考えざるを得ません。現在の環境では我々専門家(と思っているのですが)不十分な活動しかできませんし、諸条件が整うのを待つには私の年齢が待ちきれません。

 それでもなお、本書は、小難しい研究をまとめたものとしては、とても理解しやすいものになっていると思いますし、私自身も、これからの景観は、こうした方向しかないと思います。
 是非、多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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